こんにちは!
今回は、多くの打楽器奏者が憧れると同時に、苦手意識も持ちがちな「アドリブ(即興演奏)」について、特にドラムセットやパーカッションなどの無音程打楽器に焦点を当てて、その考え方と練習方法を解説していきます!
合奏中に「8小節ソロ、よろしく!」と急に振られて、頭が真っ白になって固まってしまった…そんな経験はありませんか?
アドリブは決して魔法や超能力ではありません!
実は、知識(ボキャブラリー)を学び、それをアウトプットする練習を積み重ねることで、誰でも必ずできるようになる「技術」です!
たくさんのリズムパターンを知り(インプット)、それを自分なりに組み合わせて自由に叩く(アウトプット)練習を続けることで、誰でも演奏できるようになります!
この記事では、次の内容を知ることができます!
- 無音程打楽器のアドリブに必要な「リズムの引き出し」の増やし方
- リズムを彩る「音色のバリエーション」の作り方
- アドリブを楽しむための大切な3つの心得
この記事を読んで、アドリブへの「何を叩けばいいか分からない」という不安を解消し、楽譜がなくても自由に演奏できる楽しさへの第一歩を踏み出しましょう!
参考にしている教則本はこちら!
STEP 1:「リズムの引き出し」を増やそう!
アドリブは、何もないところから突然フレーズが生まれてくるわけではありません。
まずは、自分の体の中にたくさんの「リズムの引き出し」をストックしておくことが、全ての始まりです!
- まずはマネから始めよう!曲から「カッコいいリズム」を盗む練習
- 「縛りプレイ」が創造力を刺激する?今日のテーマを決めて叩いてみよう
- 【実践】メトロノームを使った1日1分のフリータイム・トレーニング
順番に紹介します!
まずはマネから始めよう!曲から「カッコいいリズム」を盗む練習
一番手っ取り早く、リズムの引き出しを増やす方法は、自分が「カッコいい!」と思うリズムを徹底的に真似することです!
- 好きな曲のドラムパターンやパーカッションのリズムを耳で聴き取り(耳コピ)、そっくりそのまま叩けるように練習してみましょう。最初はゆっくりで構いませんので、どんな音符の組み合わせや手順で叩いているのかを分析します。
- ロック、ファンク、ラテン、サンバなど、様々なジャンルの音楽に触れて、色々なリズムパターンを自分のものにしていきましょう。
たくさんのリズムパターンをストックしておけば、「あの曲のあのリズムを使ってみよう!」というように、アドリブの選択肢が格段に増えます!
「縛りプレイ」が創造力を刺激する?今日のテーマを決めて叩いてみよう
「自由に叩いていいよ」と言われると、かえって何をすればいいか分からなくなることがありますよね。
そんな時は、あえて自分に「縛り(ルール)」を設けてみるのが効果的です!
- 使う楽器を限定する
→ドラムセットなら「ハイハットとスネアドラムだけ」、パーカッションなら「コンガのこの1台だけ」というように、使う音を限定してみましょう!
- 使う音符を限定する
→「今日は8分音符だけでフレーズを作ってみよう」「今日は3連符をテーマに叩いてみよう」というように、使うリズムの要素を絞ります。
このように、あえて制約を設けることで、その枠の中でどうやって面白いことをやるか、という創造力が刺激され、普段は思いつかないような新しいアイデアが生まれやすくなります!
【実践】メトロノームを使った1日1分のフリータイム・トレーニング
これは、毎日続けられる非常に効果的なアウトプット練習です!
- メトロノームを心地よいテンポ(例:♩=80~100程度)にセット。
- タイマーを1分間にセット。
- タイマーがスタートしたら、クリックに合わせて、とにかく自由に、思いつくままに叩き続ける。
この練習で最も大切なのは、「上手く叩こうとしないこと」そして「絶対に音を止めないこと」です!
たとえ同じリズムの繰り返しになっても、変なフレーズになってしまっても大丈夫です!
とにかく音を出し続けることで、アドリブに対する心理的な抵抗感をなくし、頭で考えずに体で反応する瞬発力を鍛えることができます!
STEP 2:「音色」で彩りを加えよう!
リズムの引き出しが増えてきたら、次は単調なリズムに彩りを加える「音色」のバリエーションを学んでいきましょう。
無音程打楽器は、音の高さがなくても、音色で無限の表現が可能です!
- 「叩く場所」と「叩き方」で音を変える
- 「ダイナミクス」でグルーヴを生み出す!
- 「オープン」と「ミュート」で音の長さを操る!
順番に紹介します!
「叩く場所」と「叩き方」で音を変える
一つの楽器から、どれだけ多彩な音色を引き出せるかが、表現力豊かなアドリブの鍵です!
- スネアドラム
→打面の真ん中を叩いた音、端を叩いた音、リムと打面を同時に叩く「リムショット」、スティックを寝かせてリムだけを叩く「クローズドリムショット」など。
- シンバル
→シンバルの中心部分(カップ)、平らな部分(ボウ)、端(エッジ)など
- カホンやコンガ、ボンゴ
→バスドラムのような低い音(ベースノート)と、スネアのような高い音(スラップノート)など
これらの音色の違いを意識的に使い分けるだけで、同じリズムパターンでも全く違う曲のように聴かせることができます!
「ダイナミクス」でグルーヴを生み出す!
リズムに「強弱(ダイナミクス)」をつけることで、音楽は生き生きとしたグルーヴを生み出します!
- ゴーストノートを使いこなす
→ゴーストノートとは、聴こえるか聴こえないかくらいの、ごくごく小さな音のことです。例えば、16ビートの細かい隙間に、このゴーストノートをスネアで入れるだけで、リズムが非常に滑らかで、立体的なグルーヴに変わります。
- アクセントの位置を意識する
→同じ8ビートでも、アクセント(強く叩く音)の位置を意識的に変えるだけで、リズムの表情は大きく変わります。
単に大きな音と小さな音を使い分けるだけでなく、その中間の音量も意識することで、表現の幅は無限に広がります!
「オープン」と「ミュート」で音の長さを操る!
音の「長さ」をコントロールすることも、無音程打楽器の重要な表現方法です。
- ハイハットのオープン/クローズ
→ペダルを踏んで閉じたタイトな音と、ペダルを離して「シャーン」と伸びるオープンな音の使い分けは、ドラム演奏の基本であり、非常に効果的な表現です。
- シンバルのミュート
→クラッシュシンバルなどを叩いた後、響いているシンバルを手で軽く触れて音を止める(ミュートする)テクニックです。これにより、リズムにキレが生まれたり、場面転換を明確に示したりすることができます。
- コンガやボンゴのミュート奏法
→叩いた後、すぐに打面に手を置いたままにして、余韻のないタイトな音を出す奏法です。これにより、リズミカルなフレーズをより明確に聴かせることができます。
音を出すだけでなく、「音を止める」「音を短くする」という意識を持つと、演奏の幅がよりひろがります!
STEP 3:「耳」と「心」で感じろ!
テクニックを学んだら、最後はそれを音楽的なグルーヴに昇華させるための練習です。
ここでは、耳と心を鍛えるトレーニングを紹介します。
- 最強の練習法は「完コピ」?好きなドラマーを徹底的に真似してみよう
- 自分のグルーヴを見つけよう!録音して客観的に聴くことの大切さ
順番に紹介します!
最強の練習法は「完コピ」?好きなドラマーを徹底的に真似してみよう
「マネから始めよう」という話がありましたが、これをさらに突き詰めたのが「完コピ」です!
単にリズムパターンや手順をコピーするだけでなく、その奏者の持つ独特の「ノリ」や「間」、強弱のニュアンス、音色の選び方まで、そっくりそのままコピーすることを目指します。
これをやることで、なぜその奏者の演奏がカッコよく聴こえるのか、その秘密を体で理解することができます。
一人の奏者を徹底的にコピーすることで、そのエッセンスが自分の血肉となり、やがて自分だけのアドリブのスタイルを築くための土台となります!
自分のグルーヴを見つけよう!録音して客観的に聴くことの大切さ
自分の演奏は、叩いている本人にはなかなか客観的に聴こえません!
ぜひ、自分のアドリブ演奏をスマートフォンなどで録音して、後で聴き返してみてください!
- リズムはメトロノームに対して正確か?
- 音の粒立ちは揃っているか?
- 強弱のバランスは意図通りか?
客観的に自分の演奏を聴くことで、自分では気づかなかったリズムの癖や、改善点、そして意外なカッコいいフレーズなどを発見できます。
これが、自分だけのオリジナルなグルーヴを見つけていくための、非常に大切なプロセスです!
アドリブ上達のための3つの心得(マインドセット)
最後に、アドリブに挑戦する上で、技術以上に大切かもしれない3つの「心得」をお伝えします。
- 間違いを恐れない!「予想外の展開」を楽しもう
- とにかくシンプルに!音数を減らす勇気を持とう
- 音楽は「会話」だ!周りの音をよく聴こう
順番に紹介します!
間違いを恐れない!「予想外の展開」を楽しもう
アドリブ中に、リズムが崩れてしまったりすることは、誰にでもあります!
しかし、それを「失敗」と捉える必要はありません!
アドリブ中のミスは、新しいリズムやフレーズが生まれる絶好のキッカケになることもあります!
「お、今ちょっと面白いリズムになったな。これを続けてみよう!」というように、その「予想外の展開」を楽しんでしまうくらいの遊び心を持ちましょう!
とにかくシンプルに!音数を減らす勇気を持とう
「アドリブ=速くて手数が多いフレーズ」というイメージを持っている人も多いかもしれませんが、それは大きな間違いです。
カッコいいアドリブは、決して音数の多さだけで決まるものではありません!
たった一つの音でも、最高のタイミングで、最高の音色で鳴らすことができれば、それは聴いている人の心を揺さぶります。
むしろ、音数を減らし、「間(ま)」を効果的に使うことで、よりグルーヴィーで印象的なソロになることも多いのです。
シンプルな8ビートだけでも、音色や強などのの組み合わせで、無限の表現が可能です!
まずはシンプルなリズムを、いかにカッコよく聴かせるか、というところから始めてみましょう!
音楽は「会話」だ!周りの音をよく聴こう
特にバンドやアンサンブルの中でアドリブをする場合、これは最も重要な心得です!
アドリブは、自分一人で好き勝手に演奏することではありません!
その他の楽器のフレーズにリズムで応えたり、ベースラインと絡み合ったり、メロディーを盛り上げたり…常に周りの音に耳を澄ませ、独りよがりな演奏にならないように心がけましょう!
この「会話」する意識を持つことで、あなたのアドリブはアンサンブルの中で輝きを増します!
まとめ
いかがでしたか!
今回の記事では、次の内容を紹介しました!
- アドリブの土台となる「リズムの引き出し」を増やすための具体的な練習法(マネ、縛りプレイ、フリータイム)
- リズムに彩りを加え、表現力を高めるための「音色のバリエーション」の作り方(叩く場所、強弱、ミュート)
- テクニックを音楽的なグルーヴに昇華させるための「耳」と「心」のトレーニング(完コピ、録音)
- そして、何よりもアドリブを楽しむための大切な3つの心得(間違いを恐れない、シンプルに、会話する)
アドリブは、楽譜から解放され、リズムと音色だけで自分を自由に表現できる、無音程打楽器の最高の楽しみの1つです!
まずは今日の練習から、好きな曲のリズムを一つだけ真似してみることから始めてみましょう!