こんにちは!
打楽器初心者指導シリーズ、第2回目の今回は、指導において最も重要と言っても過言ではない「モチベーションの維持・向上」について深く掘り下げていきます!
どんなに素晴らしい指導内容でも、初心者の「やりたい!」「上手くなりたい!」という気持ちがなければ、なかなか上達には繋がりませんよね!
この記事では、なぜモチベーションが大切なのか、そして具体的にどうすれば初心者のやる気を引き出し、維持できるのか、その秘訣をたっぷりお伝えします!
この記事を読めば、初心者が目を輝かせながら練習に取り組む、そんな理想的な指導に一歩近づけるはずです!
ぜひ、日々の指導に生かしてみてください!
参考にしている教則本はこちら!
最重要!モチベーション維持・向上の秘訣
初心者の指導において、技術的なことと同じくらい、もしかしたらそれ以上に大切なのが、モチベーションの維持・向上です。
ここでは、初心者が打楽器を「楽しい!」と感じ、練習を続けたくなるような指導のコツを、様々な角度から紹介していきます。
どうしてモチベーションが大切なのか、そして具体的にどんなアプローチがあるのか、詳しく見ていきましょう!
- なぜモチベーションが重要なのか?:継続は力なり
- 初心者が「楽しい!」と感じる瞬間を作る
- 目標設定のコツ:小さな成功体験を積み重ねる
- ポジティブな声かけ:褒め方、励まし方の具体例
- パート練習、個人練習でのモチベーション維持法
順番に紹介します!
なぜモチベーションが重要なのか?:継続は力なり
打楽器に限らず、楽器の演奏技術を身につけるには、魔法のような近道はありません。
地道な基礎練習をコツコツと続け、少しずつできることを増やしていく、その繰り返しが上達への唯一の道です。
しかし、特に初心者にとって、単調に思える基礎練習は時に苦痛に感じられることもあります。
「なんでこんなことしなきゃいけないの…」
「全然うまくならない…」
そんな風に感じてしまうと、練習から足が遠のいてしまいます。
ここで重要になるのが「モチベーション」、つまり「やる気」です!
モチベーションが高い状態であれば、このような好循環が生まれます。
- 練習に対して前向きに取り組める。
- 難しい課題にも粘り強く挑戦できる。
- 練習自体が楽しく感じられる。
- 結果として、練習の質と量が高まり、上達スピードも速くなる。
逆に、モチベーションが低いと、以下のような悪循環に陥りやすくなります。
- 練習が「やらされている」感覚になり、苦痛に感じる。
- 少し壁にぶつかると、すぐに諦めてしまう。
- 練習時間が短くなったり、休みがちになったりする。
- 結果的に、上達が遅れ、さらにモチベーションが下がる。
上級生や指導者は、単に技術を教えるだけでなく、初心者の心に寄り添い、彼らが自ら「練習したい!」と思えるような環境や雰囲気を作ることが非常に重要です!
初心者のモチベーションを高く保つことこそ、指導者にとって最も大切な役割の1つです!
皆さんの働きかけ一つで、初心者の打楽器人生が、楽しく充実したものになるかどうかが決まるかもしれません!
初心者が「楽しい!」と感じる瞬間を作る
では、どうすれば初心者のモチベーションを高められるのでしょうか?
その鍵は、「楽しい!」と感じる瞬間をたくさん作ることです!
人は、楽しいと感じることには自然と興味を持ち、続けたいと感じるようになります!
初心者が打楽器を「楽しい!」と感じるのは、どんな時でしょうか?
答えは人それぞれですが、例えば、こんな瞬間が考えられます。
- 昨日までできなかったリズムパターンが、今日叩けるようになった時。
- メトロノームに合わせて、ぴったりリズムキープできた時。
- パートの仲間と簡単なアンサンブルをして、音が綺麗に重なった時。
- 先生や先輩に「今の音、いいね!」「上手になったね!」と具体的に褒められた時。
- 演奏会などで、お客さんから拍手をもらった時。
上級生や指導者は、これらの「楽しい!」瞬間を、偶然に任せるのではなく、意図的に作ることも大切です!
例えば、以下のような取り組みなどは実践しやすいのではないでしょうか?
- 最初の練習では、難しいことはおいておき、まずは色々な楽器を自由に叩かせてみる。
- 達成しやすい非常に簡単なリズムやフレーズから練習を始める。
- すぐに成果が見えるような、短い練習メニューを組む。
- 練習の中に、リズム当てゲームや、パート対抗のミニコンテストなど、遊びの要素を取り入れる。
- 練習の成果を発表する小さな機会(パート内発表会、他のパートへの披露など)を設ける。
もちろん、基礎練習は重要ですが、そればかりでは息が詰まってしまいます。
練習メニューの中に、こうした「楽しい!」と感じられる活動を意識的に組み込むことで、初心者は打楽器の魅力を実感し、「もっとやりたい!」という気持ちを持つようになります。
楽しいというポジティブな感情は、次の練習への強い原動力となるのです。
ぜひ、あなたのパートの練習にも「楽しい!」の種をたくさん蒔いてみてください!
目標設定のコツ:小さな成功体験を積み重ねる
- 「いつかコンクールでソロを叩きたい!」
- 「あの難しい曲を完璧に演奏したい!」
大きな目標を持つことは、もちろん素晴らしいことです。
しかし、初心者にとって、あまりにも遠い目標は、かえってプレッシャーになったり、「自分には無理だ…」と諦めてしまう原因になったりすることもあります。
モチベーションを維持・向上させる上で効果的なのは、「小さな成功体験」をコツコツと積み重ねていくことです。
「できた!」という達成感を頻繁に味わうことで、自信がつき、自己肯定感が高まり、次のステップへ進む意欲が湧いてきます。
そのために重要なのが、「目標設定の方法」です。
ポイントは、具体的で、達成可能で、少し頑張れば手が届くような「スモールステップ」の目標を設定することです。
例えば、こんな目標設定が考えられます。
悪い例
「早く上手くなる」「基礎練習を頑張る」
→ 具体的でなく、達成できたかどうかが分かりにくい。
良い例
「今週中に、メトロノームのテンポ80で、この教則本の練習パターン1番を、3回連続で間違えずに叩けるようになる」
「次のパート練習までに、この曲の1小節目から8小節目までのシンバルのリズムを、正確なタイミングで入れるようにする」
「今日の個人練習で、苦手な左手のシングルストロークを、5分間集中して練習する」
→目標が具体的、目標を達成できたかどうかが判断できる、自分の成長につながる、期限が明確
目標を設定する際には、以下の点を意識すると良いでしょう。
- 具体的(Specific):何を達成するのかが明確であること。
- 測定可能(Measurable):達成できたかどうかが客観的に判断できること。
- 達成可能(Achievable):少し努力すれば達成できる現実的なレベルであること。
- 関連性(Relevant):最終的な大きな目標(例:曲の完成)に繋がっていること。
- 期限(Time-bound):いつまでに達成するのか期限が明確であること。
(いわゆるSMARTの法則ですね!)
指導者は、初心者と一緒に目標を設定し、その進捗を確認してあげることが大切です。
小さな「できた!」の積み重ねが、やがて大きな自信となり、「自分はやればできるんだ!」という感覚を育てます。
この感覚こそが、困難な壁にぶつかった時にも諦めずに乗り越える力を与えてくれます。
初心者一人ひとりに合ったスモールステップの目標設定をサポートしましょう!
ポジティブな声かけ:褒め方、励まし方の具体例
初心者は、自分の演奏に自信を持てないことが多く、周りの評価にとても敏感です。
指導者からの言葉は、彼らのモチベーションに非常に大きな影響を与えます。
何気ない一言が、やる気を引き出すこともあれば、逆に心を折ってしまうこともあります。
大切なのは、「ポジティブな声かけ」を意識することです。
具体的には、「褒める」ことと「励ます」ことです。
まず「褒める」ことについてですが、ただ「上手いね」「いいね」と漠然と言うだけでなく、どこがどう良かったのかを具体的に伝えることが重要です。
また、結果だけでなく、努力やプロセス、工夫した点などを褒めることも効果的です。
褒め方の具体例
- 「今のフォルテの音、すごく芯があって良かったよ!迫力が出たね!」
- 「この前の練習より、スティックの跳ね返りを上手く使えるようになってる!リラックスできてる証拠だね。」
- 「難しいリズムなのに、最後まで諦めずに何度も練習してたね。頑張ってるの知ってるよ!」
逆に、避けるべき褒め方もあります。
褒め方の具体例
- ・他人と比較する:「〇〇ちゃんより上手くなったね」
→比較された相手も、された本人も良い気持ちはしません。
- 才能やセンスだけを褒める:「やっぱりセンスあるね」
→努力を否定されたように感じたり、プレッシャーになったりすることがあります。
次に「励ます」ことについてです!
誰でも練習していれば、上手くいかないことや、失敗することは必ずあります。
そんな時に、頭ごなしに叱ったり、突き放したりしないようにしましょう!
相手に寄り添い、共感し、前向きな言葉で励ますことが大切です。
励まし方の具体例
- 「大丈夫だよ、誰だって最初は上手くいかないものだよ。私もそうだったんだから!」
- 「難しいよね、わかるよ。どこが特に難しいと感じるか、一緒に考えてみようか?」
- 「惜しい!あとちょっとだよ!もう一回やってみよう!」
- 「すぐにできなくても焦らなくていいからね。少しずつ確実にやっていこう。」
- 「〇〇さんなら、絶対できるようになるって信じてるよ!」
もちろん、注意すべき点を伝える場面もあります。
その際は、まずは肯定的な言葉から入るようにすると良いでしょう!
(例:「リズムは良くなってきたね!あとは…」)
また、人格を否定するような言葉は絶対に使わない、などの配慮は必要です。
指導者の温かい言葉は、初心者の心を支え、安心感を与え、「もっと頑張ろう!」という気持ちを引き出します。
常に笑顔で、ポジティブな言葉をかけることを心がけましょう。
皆さんの言葉が、彼らの成長の何よりのエネルギーになりますよ!
パート練習、個人練習でのモチベーション維持法
モチベーションを維持するためには、練習の形態(パート練習か個人練習か)に応じた工夫も必要です。
まず、パート練習についてです。
パート練習は、仲間と一緒に練習できる楽しさがある一方で、個々のレベル差があったり、練習内容が単調になったりすると、モチベーションが下がりがちです。
パート練習でのモチベーション維持の工夫例:
- パート全体の目標を設定する
→「次の合奏までに、この曲の打楽器パートを完璧にしよう!」など、全員で目指す目標を共有することで、一体感が生まれます。
- パート内で教え合う時間を作る
→上級生が下級生に教えたり、同じくらいのレベルの生徒同士でアドバイスし合ったりすることで、コミュニケーションが活性化し、理解も深まります。教える側も学びになります。
- 定期的にパートで演奏できる曲に取り組む
→基礎練習だけでなく、パート全員で楽しめる簡単なアンサンブル曲などを練習に取り入れることで、達成感や合奏の楽しさを味わえます。
次に、個人練習についてです。
個人練習は、自分のペースで課題に集中できるメリットがありますが、孤独を感じやすく、モチベーションを保つのが難しい側面もあります。
個人練習でのモチベーション維持の工夫例:
- 練習記録をつける
→練習した内容、時間、できるようになったこと、課題などを記録するノートを作ります。自分の頑張りや成長が可視化され、達成感に繋がります。指導者もそのノートを見てコメントを書いてあげると、さらに効果的です。
- 練習環境を整える
→練習に集中できるよう、整理整頓された場所を用意したり、必要な道具(メトロノーム、譜面台、鏡など)を揃えたりすることも、モチベーション維持に繋がります。(可能であれば)
- 指導者からの定期的な声かけとフィードバック
→「最近、個人練習頑張ってるね!」「この前の課題、どうなった?」など、指導者が気にかけていることを伝え、練習の成果を認め、次の課題を提示することで、個人練習への意欲を高めます。
パート練習と個人練習、それぞれの特性を理解し、適切なアプローチでモチベーションをサポートしていくことが、初心者の継続的な成長には不可欠です。
まとめ
今回は、打楽器初心者の指導において最も重要な「モチベーション維持・向上の秘訣」について、以下の点から詳しく解説しました。
- なぜモチベーションが重要か: 継続的な練習と上達に不可欠な原動力であること。
- 「楽しい!」瞬間を作る: 成功体験や遊びの要素を取り入れ、練習への意欲を引き出すこと。
- 目標設定のコツ: スモールステップで具体的な目標を設定し、小さな成功体験を積み重ねること。
- ポジティブな声かけ: 具体的に褒め、温かく励ます言葉で、安心感と自信を育むこと。
- 練習形態ごとの工夫: パート練習では一体感を、個人練習では目的意識と達成感を意識すること。
初心者のモチベーションは、指導者のちょっとした工夫や言葉かけで大きく変わります。
技術指導だけでなく、常に初心者の心に寄り添い、彼らが「打楽器って楽しい!」「もっと上手くなりたい!」と心から思えるようなサポートを心がけてください。
あなたの情熱と工夫が、きっと素晴らしい打楽器奏者を育てる力になります!
日頃の指導に、ぜひこの記事で紹介したヒントを生かしてください!
次回の記事では、「初心者がつまずくポイントと対策」について紹介します!
基礎練習と並行しながら、様々な曲の練習をするのもオススメです!
以下のサイトで販売しているので、ご活用ください!