「あの生徒は感覚がいいから上手い」
「才能があるから伸びる」
打楽器の指導現場でこういう言葉を聞くことがあります。
確かに感覚の良い生徒はいます。
しかし私の指導経験から言うと、最終的に安定して上手い演奏ができるかどうかは、才能よりも「正しい基礎ができているかどうか」で決まります。
演奏の差はどこに出るか
基礎ができている演奏者と、そうでない演奏者を聴き比べると、演奏に関わる全ての要素で差が出ます。
最初に差が出るのはテンポです。
基礎ができていない演奏者は、曲の難しい箇所でテンポが乱れます。タイミングもあっていません。
次に強弱の幅です。フォルテとピアノの差がはっきり出せるかどうか、どの楽器でも意識して演奏しているか。
さらに音の粒です。一打一打の音が均等に揃っているかどうか。どんな場面でも自分が狙った音色で演奏出来ているか。
これらは全て、基礎練習の積み重ねによって身につくものです。
「感覚で誤魔化せる」の落とし穴
感覚が良い生徒は、基礎がなくても曲の勢いで誤魔化せてしまうことがあります。
本人も周りも「上手い」と感じている状態です。
しかしこれには落とし穴があります。
ある時急にできなくなる。良い演奏とそうでない演奏のムラが出る。
こういったことが起きます。
基礎がないまま感覚だけで演奏しているため、再現性がありません。本番で崩れやすいのも、このタイプの生徒です。
コンクールという大事な場面で安定した演奏ができるかどうか。
それは感覚ではなく、基礎の積み重ねによって決まります。
「基礎練習をしている」と「正しい基礎ができている」は違う
ここで一つ重要なことをお伝えします。
「毎日基礎練習をしている」と「正しい基礎ができている」は、全く別のことです。
真面目な生徒に多いパターンがあります。
基礎練習も言われたことや知っていることしかやらない。その結果、応用が身についていない。楽譜通りに叩けばいいと思っていて、奏法や音色にこだわっていない。
こういった生徒は、一見真面目に練習しているように見えますが、上手く聴こえません。
では「正しい基礎」とは何か。3つあります。
①各打楽器の奏法を適切に理解している
スネアドラム・ティンパニ・鍵盤打楽器など、楽器ごとに正しい奏法があります。なんとなく叩くのではなく、なぜその奏法が必要なのかを理解していることが重要です。
②練習の種類と狙いを理解している
基礎練習でできる練習、楽器でしかできない練習、合奏でしかできない練習、それぞれ目的が違います。「今自分は何のためにこの練習をしているか」を理解していることが正しい基礎の条件です。
③「なぜそうなるのか」を理解しようとしている
演奏や音楽に興味を持ち、疑問を持ちながら取り組んでいる生徒は伸びます。言われたことをこなすだけでなく、自分で考える姿勢があるかどうかが、長期的な上達を左右します。
正しい基礎がある生徒とない生徒の最大の違い
正しい基礎ができている生徒とそうでない生徒の差が最も明確に出る場面があります。
新しい曲に取り組んだときの習得スピードです。
基礎ができている生徒は、新しい曲でも短期間で仕上げられます。基礎で身につけた技術が、そのまま曲の演奏に応用できるからです。
一方、基礎ができていない生徒は毎回同じところでつまずきます。曲が変わっても、同じ問題が繰り返されます。
また、指導者のアドバイスを吸収できるかどうかにも差が出ます。基礎ができている生徒は「なぜそうするのか」を理解しているため、アドバイスをすぐに自分の演奏に反映できます。
基礎ができていない生徒は、アドバイスを聞いてもその場限りの修正で終わってしまいます。
顧問の先生にできること
「正しい基礎ができているかどうか」を判断するには、打楽器の専門知識が必要です。
生徒が毎日基礎練習をしているからといって、それが正しい基礎につながっているかどうかは別の話です。
もし「うちの生徒の基礎が正しいかどうか確認したい」「基礎練習の内容を見直したい」という場合は、オンラインでご相談ください。
現状をお聞きするだけで、今のパートに必要な基礎練習の内容と優先順位をお伝えします。

